改訂新版 世界大百科事典 「エウリック」の意味・わかりやすい解説
エウリック
Euric
生没年:?-484
西ゴート族の王。在位466-484年。5世紀後半,西ローマ帝国が滅亡に向かう時期に,フランス南西部の一帯からプロバンス地方,さらにイベリア半島へと勢力を拡大し,ローマ皇帝との盟約関係を廃棄して独立的な傾向を強め,王国の最盛期を築いた。近隣の諸勢力から有力な調停者としての役割を期待され,誇り高いローマ人詩人シドニウス・アポリナリスからも,西方世界の最強の王と称えられた。ゲルマン世界の最古の成文法として知られる《エウリック王法典Codex Euricianus》(475ころ)は,古来の慣習法を含んではいるものの,ローマ人官僚によって編纂され,ローマ法の影響を強く受けたものといわれる。
執筆者:中村 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報