日本大百科全書(ニッポニカ) 「えくぼ」の意味・わかりやすい解説
えくぼ
えくぼ / 靨
顔面に生じる皮膚のくぼみをいう。一般的には笑ったり、口角を後方に引き上げたとき頬(ほお)にできるくぼみをいうが、頤(おとがい)や額(ひたい)にできる人もいる。頬の場合、口角の外側にある口角下制筋や笑(しょう)筋などが収縮してできる。笑筋は、えくぼ筋ともいう。笑筋は骨に付着しないで下層の筋膜におこり、皮膚の下を筋束をつくって走るが、皮膚に付着しているので皮筋(皮下筋)とよぶ。顔面の表情筋はすべて皮筋であり、顔のくぼみやしわをつくるが、とくに皮下に脂肪が多い柔らかい組織の部分に大きく作用する。えくぼが女性や子供によくできるのは、このためである。頸部(けいぶ)で下顎(かがく)から鎖骨あたりまで広がっている広頸筋は、頸部の筋膜と皮膚とに付着している皮筋で、口角を後方へ引いたり、下へ押し下げる働きをするが、同時に頸部に多数のしわをつくる。
[嶋井和世]