哺乳(ほにゅう)動物およびヒトの顔面に発達している筋。顔面を構成する筋には顔面筋とそしゃく(咀嚼)筋とがあるが、顔面筋の収縮運動が複雑な顔面の表情をつくるので、顔面筋のことを表情筋とよぶ。表情筋は顔面の骨の表面や筋膜からおこり、顔面の皮膚につく(このような筋を皮筋とよぶ)。表情筋は頭皮の筋、耳介(じかい)周囲の筋、眼瞼裂(がんけんれつ)周囲の筋、鼻の筋、口裂周囲の筋などに分類され、総計で二十数個となる。表情筋は一般の骨格筋と異なり、個々の筋はその付着部や末端部で隣接筋といっしょになる傾向があるため、筋の長さを決めるとか筋個体をはっきり区別することは困難である。頭蓋(とうがい)表筋の一つである前頭筋は、驚いたときなどに眉(まゆ)を引き上げたり、額にしわをつくる表情筋である。この場合には耳介筋も同時に働く。眼輪筋は眉をあげたり、まぶたの開閉、ウィンクなどにかかわる表情筋である。このほか、表情筋には、眉間(みけん)にしわを寄せる鼻根筋、激しい感情的な表情で鼻翼を広げる鼻筋、口の開閉や口唇を前方に突き出す口輪筋、口角をあげて笑いの表情をつくる大頬骨(だいきょうこつ)筋、いわゆる「えくぼ」をつくる笑筋、口角下制筋などがある。表情筋はすべて横紋筋で、顔面神経の支配を受ける。したがって、顔面神経麻痺(まひ)によってこれらの筋が麻痺すると、表情の動きは制限される。
[嶋井和世]
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…後者は顔,目,鼻,口,耳の周囲の皮膚に着いている多数の小筋で,目や口を開閉したり,鼻をもぐもぐさせたり,動物では耳を動かしたりする。高等な動物ことにヒトでは,顔面筋は感情の変化に伴っても運動して表情を起こすので,この筋群をまた〈表情筋mimic muscle〉ともいう。顔に分布する血管はおおざっぱにいうと,表層が顔面動脈,深層が顎動脈で,いずれも外頸動脈の枝である。…
…この神経が傷害されると眼球を外側に向けることができなくなる。顔面神経は顔面神経核から出て,顔にある表情筋を支配する。すなわち,顔面の表情筋を収縮させて感情を表現する働きのほか,眼瞼(まぶた)を閉じるとか,くちびるを動かして言葉を発音する働きを行う。…
…しかし横紋筋のなかには,一端が皮膚に付着しているものがあり,これを皮筋skin muscleという。皮筋は一般に下等哺乳類で発達しているが,ヒトでも顔の表情筋は皮筋で,したがってその収縮によって顔面の皮膚が動いて表情をつくる。また舌や咽頭,喉頭の筋肉も横紋筋で,舌・咽頭は咀嚼(そしやく)時や嚥下時に,また喉頭は発声時にそれぞれ随意的に動かすことができる。…
※「表情筋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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