日本大百科全書(ニッポニカ) 「エジン」の意味・わかりやすい解説
エジン
えじん / 額済納
中国北部、内モンゴル自治区北西端の旗(県級行政区)。アルシャ盟(二級行政区)に属する。人口2万6159(2015)。旧名はエチナ(亦集乃)。旗政府はダライコボ(達来呼布)にある。漢代には張掖(ちょうえき)郡、隋(ずい)・唐代には甘州(かんしゅう)、粛州(しゅくしゅう)、西夏の時代には黒水鎮燕軍(こくすいちんえんぐん)に属し、元代にエチナ路が設けられた。清(しん)代にモンゴルの部族トルグート部の一部がここに移り、1929年エチナ・トルグート旗を建設、一時甘粛、寧夏(ねいか)両省に属したが、1956年内モンゴル自治区の一部となった。
全域が弱水(じゃくすい)の沖積平野のゴビ(礫質(れきしつ)砂漠)上にあり、弱水と居延海(きょえんかい)(ガシュンノール)沿岸は水草の豊かな天然牧場をなし、ヒツジ、ウシ、ウマ、ラクダを産する。アルシャ盟はとくにラクダの産地として知られる。居延海付近で発掘された漢代の木簡(居延漢簡)は貴重な史料として知られる。また旗の中東部には西夏・元代のハラ・ホト遺跡がある。臨哈(りんは)線(臨河(りんが)―クムル)、酒額線(酒泉(しゅせん)―エジン)、嘉策線(嘉峪関(かよくかん)―策克口岸)が通る。2013年にはエジン旗桃来空港が開港した。
[河野通博・編集部 2017年12月12日]