中国、甘粛(かんしゅく)省北西部の地級市。粛州(しゅくしゅう)区と、瓜州(かしゅう)など2県、2自治県を管轄し、敦煌(とんこう)、玉門(ぎょくもん)の2県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。常住人口111万5400(2015)。紀元前2世紀末ごろ、匈奴(きょうど)を駆逐した前漢の武帝がこの地に酒泉郡を置いたのに始まる。7世紀初頭の隋(ずい)の時代に酒泉郡は粛州と改められた。地名の由来にもなった湧水に恵まれ、古くから河西(かせい)回廊の要衝であり、五胡(ごこ)十六国時代には、李暠(りこう)(351―417)、李歆(りきん)(?―420)の2代にわたって西涼(せいりょう)の都が置かれていた。
石油産業を柱に、機械工業、冶金、食品加工業などが立地するほか、2000年代以降は風力発電産業も発展している。伝統工芸品では玉杯の「夜光杯(やこうはい)」が有名。市の北東250キロメートルには国内最大級の酒泉衛星発射センターがあり、ロケットや人工衛星、有人宇宙船が打ち上げられている。蘭新線、北京(ペキン)や連雲港(れんうんこう)への自動車道が通じる。郊外南西に位置する文殊山は、古代の石窟(せっくつ)寺院の遺跡として名高い。
[關尾史郎・編集部 2017年6月20日]
中国,甘粛省北西部の都市。河西回廊地帯の要地で,北大河に沿い南に蘭新鉄道(蘭州~ウルムチ)が通っている。漢の武帝のとき前111年(元鼎6)ごろシルクロード確保のため禄福県をおき,酒泉郡(河西四郡の一つ)の中心とした。五胡十六国時代には西涼国の都となり,隋以後,酒泉郡を粛州とし,唐の初めに県名を酒泉と改めた。中華民国から県は省に直属し,現在は酒泉地区公署の所在地。南西の文殊山石窟は5世紀にさかのぼる仏教遺跡である。
執筆者:日比野 丈夫
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