中国、甘粛(かんしゅく)省西部の地級市。同名の市轄区のみを管轄する(2016年時点)。常住人口23万1853(2010)。嘉峪山麓(さんろく)の要地で、古くから東西交通路の要害であった。明(みん)代の1372年、馮勝(ふうしょう)(?―1395)による河西(かせい)平定に伴い、万里の長城の西端であるこの地に、北辺の前線基地として嘉峪関が設けられ、軍隊が常駐した。現在でも3層の城楼や二重の城壁などが残っており、1987年にはユネスコ(国連教育科学文化機関)により、「万里の長城」の構成資産として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。
蘭新線、嘉鏡線(嘉峪関―鏡鉄山(きょうてつざん))、嘉策線(嘉峪関―策克口岸)が通じ、市街近郊には嘉峪関空港がある。冶金、化学、機械、紡績、食品加工などの工場が立地する。
[關尾史郎・編集部 2017年6月20日]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…ここには,石油精製,鉄鋼,金属冶金,石油関係などの機械製造,石油化学,製紙,毛紡織,食品その他の各種工業が発達している。また,玉門の石油,嘉峪関(かよくかん)の鉄鋼,金昌のニッケル,天水の機械,紡織,食品,平涼や床陽の紡織などの工業がみられる。なお,伝統工芸品として,祁連山脈の玉石を原料とした酒泉の〈夜光杯〉などの玉製品や天水の漆製品が知られている。…
※「嘉峪関」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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