クムル(読み)くむる(その他表記)Kumul

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クムル」の意味・わかりやすい解説

クムル
くむる
Kumul

中国、新疆(しんきょう)ウイグル自治区の天山(てんざん)山脈東端部の南麓にあるオアシス、およびその中心となる地級市をさす。中国語で哈密(ハミ)ともいう。クムル市は1市轄区、1県、1自治県を管轄する(2017年時点)。常住人口60万8400(2013)。

 このオアシスは紀元前後から中国に伊吾(いご)の名で知られ、北方の遊牧勢力がタリム盆地に進出する基地として重要視された。漢朝以後、天山の南麓の諸オアシスを東西に結ぶ道が東西交通の幹線となると、伊吾の地位は重くなり、西方のイラン系商人がここに集団をつくり、北方トルコ系遊牧民の保護を受けて通商に活躍する場合が多かった。唐朝はその基礎のうえに伊州を設けて直轄領とした。

 中国本土から天山地区に向かう蘭新(らんしん)線が経由するほか、市街近郊にはハミ空港がある。石炭石油、金属、化学などの重工業が発展している。

松田寿男・編集部 2018年1月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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