日本大百科全書(ニッポニカ) 「エドワード・ヤン」の意味・わかりやすい解説
エドワード・ヤン
えどわーどやん
Edward Yang
(1947―2007)
漢字表記楊徳昌。台湾の映画監督。11月6日、上海(シャンハイ)の生まれ。1949年に家族で台北に移住。国立交通大学で電気工学を学び、アメリカ、フロリダ大学に留学して計算機工学の修士号を取得。1981年に台湾に戻って映画界に入り、脚本、製作助手、テレビドラマの演出などを手がけたのち、新人監督4人によるオムニバス映画『光陰的故事』(1982)の第2話「指望」で監督デビュー。翌1983年『海辺の一日』で初の単独監督を務め、『幼馴染み タイペイ・ストーリー』(1985)、『恐怖分子』(1986)と都市の孤独を描いたクールな作風で注目され、侯孝賢(ホウシャオシェン)らとともに台湾ニューシネマの旗手となる。1991年に台湾現代史の闇に迫る4時間の大作『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』を発表。東京国際映画祭で二つの賞を受賞するなど代表作となる。その後も『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994)、『カップルズ』(1996)を経て、日本資本で製作された『ヤンヤン 夏の想い出』(2000)でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞した。2007年6月29日、アメリカ、ビバリーヒルズの自宅で死去。
[石坂健治]
資料 監督作品一覧
光陰的故事〈光陰的故事〉(1982)
海辺の一日〈海灘的一天〉(1983)
幼馴染み タイペイ・ストーリー〈青梅竹馬〉(1985)
恐怖分子〈恐怖份子〉(1986)
牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件〈牯嶺街少年殺人事件〉(1991)
エドワード・ヤンの恋愛時代〈獨立時代〉(1994)
カップルズ〈麻将〉(1996)
ヤンヤン 夏の想い出〈一一〉(2000)
『ジョン・アンダーソン著、篠儀直子訳『エドワード・ヤン』(2007・青土社)』