改訂新版 世界大百科事典 「エリブルス山」の意味・わかりやすい解説
エリブルス[山]
El'brus
ロシア連邦南西部にある大カフカス山脈の最高峰。バルカル語でミンギ・タウ。分水嶺のすぐ北に平行して走るボコボイ山脈にそびえる。結晶片岩,花コウ岩からなる基盤の山脈上に噴出した安山岩質の火山であるが,激しい氷食をうけて鋭い双頭峰をなし,氷河と万年雪に覆われている。西峰が高くて標高5642m,東峰は5621m。山体にかかる谷氷河は数十条におよぶ。北にはテレク川支流のバクサン川が流れ出し,これに沿うエリブルス村などは観光と登山基地として開発されはじめた。自動車道路終点のアザウ山からロープウェーを乗り継げば,エリブルス山の肩にあるミールヌイ(標高3450m)まで登ることができる。エリブルスの初登頂は1829年。
執筆者:渡辺 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報