改訂新版 世界大百科事典 「エレクトロノグラフ」の意味・わかりやすい解説
エレクトロノグラフ
electronograph
微弱な天体の直接像やスペクトルなどの二次元画像検出を効率よく行う目的で,1936年にフランスのラルマンA.Lallemandにより提唱され,50年代には実際の天体観測に使われるようになった装置。その原理は天体画像を光電面に結像させ光電子に変換して電子像を作り,これを原子核乾板を用いて検出しようとするものである。従来の写真乾板を直接用いた場合の量子収量は0.1%程度ときわめて低いが,この方法では光電面の量子収量が数十%にも達するため100倍以上も効率がよくなり,暗い天体の観測に新しい道を開いた。このように光電効果を微弱光の二次元画像検出に応用する試みは,その後原子核乾板の代りに蛍光面を置くイメージ撮像管,テレビジョン型検出器を用いるビジコン・カメラなどに発展し,さらに種々の固体撮像素子を同様の目的に利用する試みが行われつつある。従来からの写真乾板に代わるこれらの新しい検出装置の開発によって,天体の二次元画像検出は光子計数が可能な段階に到達しつつある。
執筆者:辻 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報