量子収量(読み)りょうししゅうりょう(その他表記)quantum yield

改訂新版 世界大百科事典 「量子収量」の意味・わかりやすい解説

量子収量 (りょうししゅうりょう)
quantum yield

光吸収や化学反応素過程のような数えられる現象の数nに対して,その結果ひき起こされた現象の数mとの比Φm/nをいう。量子収率ともいう。たとえば,(1)光電子放出蛍光,リン光などにおいて,有効に働いて起こった電子放出発光などの現象で,吸収された光子数の比,(2)光化学反応において吸収された光子数nに対する,光化学初期過程(光分解,励起分子と他の分子との反応など)や光化学後続過程(初期過程によって生じた原子遊離基などによる後続反応)の起こった数mの比,また(3)化学ルミネセンスにおいて,化学反応素過程数nに対する発光した光子数mの比をいう。蛍光の量子収量,反応生成物の量子収量などのように使う。一般に量子収量は1以下であるが,連鎖反応をひき起こす場合には1よりも大きくなることがある。たとえば,量子収量1で起こる光分解Cl2hν─→2Clの結果ひき続いて起こる塩素水素の混合気体の反応H2+Cl2─→2HClにおいては,塩化水素分子HClを生成する量子収量は10万から100万に達することがある。
化学ルミネセンス
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化学辞典 第2版 「量子収量」の解説

量子収量
リョウシシュウリョウ
quantum yield

量子収率または量子効率ともいう.系に吸収された光量子1個当たりに生じた化学変化数,すなわち消滅した分子数,または生成した分子数をいう.光量子を吸収した分子が,つねに一つの反応を完結すれば量子収量は1になる.連鎖反応が含まれていれば量子収量は1以上になる.たとえば,

の場合,HCl生成の量子収量は 105 にも達する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「量子収量」の意味・わかりやすい解説

量子収量
りょうししゅうりょう
quantum yield

光を吸収して化学反応が起るとき,吸収された光量子 (そのエネルギーhν ,hプランク定数,νは振動数) の数に対する実際の光化学反応を起した分子数の割合。また光電子放出やケイ光の現象において吸収された光量子数に対して実際にその現象を起した電子や光量子数の割合も量子収量と呼ぶ。

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世界大百科事典(旧版)内の量子収量の言及

【光合成】より

…細菌型光合成を基礎として進化の結果,地球上に豊富に存在する水を水素供与体とする緑色植物型の光合成が約10億年前に出現し,地球上にO2の出現をもたらした。 1個の光量子によって,固定されるCO2または発生するO2の分子数を光合成の量子収量quantum yield of photosynthesisといい,この逆数を光合成の要求量子数quantum requirement of photosynthesisという。要求量子数として,かつてO.H.ワールブルクは4という値(4光量子説)を主張したが,現在では8~10という値が一般に受け入れられている。…

※「量子収量」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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