エンベッド取材(読み)えんべっどしゅざい(英語表記)embedded reporting

知恵蔵 「エンベッド取材」の解説

エンベッド取材

軍隊の活動に埋め込まれて(embed)、つまり部隊寝食を共にしつつ軍事行動の現場での取材を行う形態。かつての世界大戦やベトナム戦争でも、こうした同行取材の形態がとられたことがあるが、戦場の悲惨さや生々しい情報が映像メディア等を通じて直接に家庭に届くことから、2001年のアフガニスタン攻撃などでは米軍は、記者を戦場から隔離し、代表取材や会見を中心とした取材に限定してきた。しかし、より現場に密着した取材を求めるメディアの要望に応じて、イラク戦争では、こうした同行取材が実現した。この場合、報道は原則として自由としつつも、部隊の位置・正確な数や将来の軍事行動の情報等についての発表の制限など、制約条件が付けられている。戦場の現場をとにかく目撃して取材できることの意義が認められる半面、従軍している側の視点になりがちなことや情が移るなど、取材・報道の中立性の観点からの問題もある。

(浜田純一 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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