エージェントシステム(その他表記)agent system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エージェントシステム」の意味・わかりやすい解説

エージェントシステム
agent system

エージェントを基本単位とするアーキテクチャに基づいて構成されるシステム。エージェントとは,インターネットをはじめとするデジタルネットワーク上で,協調交渉仲介集約といった社会的な作業を自律的に行なうソフトウェアをいう。エージェントシステムの中心となるマルチエージェントシステムの研究は,音声対話システムで採用された分散協調型の問題解決システム(→分散問題解決協調問題解決)の研究に端を発するもので,人工知能研究の一分野である。マルチエージェントシステムの研究では,中央集権的な制御機構に代わる,分散的な制御方式の実現を目指した取り組みが行なわれてきた。分散的な制御方式では,多数のエージェントが相互作用しながら協調や交渉をすることによって,不足しているリソースを補いあい,有限のリソースを配分することで全体を調和させ,各エージェントの所有者のメリットの最大化を目指す。基本技術として,複数のエージェントが協力して問題を解決するための分散協調,エージェント間の競合を解消するための交渉方式,与えられた問題を自律的に解決するマルチエージェントシステムを設計するためのメカニズムデザイン,マルチエージェントシミュレーション機械学習によってマルチエージェントシステムを実現するためのマルチエージェント学習,人とエージェントとの間のインタラクションのデザインにかかわるエージェント指向インターフェースなどがある。これらの技術は,インターネットオークション(→電子商取引),人工市場や経済現象の分析,災害時の避難誘導に関する避難シミュレータといった人間参加型のシミュレーションなどに応用されている。

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