日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
マルチエージェントシミュレーション
まるちえーじぇんとしみゅれーしょん
コンピュータシミュレーションの一つで、自律的に行動する多くのエージェントとよばれる単位から構成されるシステムを扱うもの。経済、交通、人流などの分野で多用される。最近では災害避難シミュレーションなどで多用されている。たとえば、経済の分野でいえば、従前の経済理論は方程式の解として表されていたため、個人は必要なすべての情報をもち、理想的な判断をするものという前提で考えられていた。しかしながら、この前提のもとではバブル現象は起こらない。人はそれぞれ異なった部分的知識に基づいて、それぞれ異なった様式で判断すると仮定すると、これはもはや方程式で表現できない。そこでコンピュータシミュレーションが用いられることになる。
[中島秀之 2019年9月17日]