日本大百科全書(ニッポニカ) 「オウシマダニ」の意味・わかりやすい解説
オウシマダニ
おうしまだに / 尾牛真壁蝨
尾牛真蜱
pantropic cattle tick
[学] Boophilus microplus
節足動物門クモ形綱ダニ目マダニ科に属するダニ。世界各地の熱帯、亜熱帯地方のウシにもっとも多く寄生、吸血する。日本では九州、対馬(つしま)、南西諸島に分布しており、ウシオマダニともよばれる。体長3ミリメートルぐらいの比較的小形種で、胴部に目があり後部周縁に花彩がない。雄の体後端に尾のような突起があるのでこの名がある。産卵期の雌と卵期だけ地上にいるが、それ以外はつねに宿主であるウシの体上にとどまり、吸血、脱皮、交尾を行う。幼ダニが宿主にとりつき、成長した雌ダニが満腹して地上に落ちるまで約1か月かかる。ウシには病原体を媒介して重大な病気をおこすので、世界各地で牧畜上、深刻な害虫の一つである。ウシ以外にもウマ、スイギュウなどが寄生を受けるが、ヒトを襲うことはない。
[山口 昇]