日本大百科全書(ニッポニカ) 「おくすり手帳」の意味・わかりやすい解説
おくすり手帳
おくすりてちょう
処方された薬を調剤する際に、その日付や薬の名前、服用または使用する量および回数、副作用をはじめとする注意事項などの情報を患者に提供するための手帳。お薬手帳とも表記し、薬識手帳ともいう。一般診療で日常的に使われ、地域の医院や調剤薬局でも国の医療保険制度にそって、所持していない患者に渡すことになっている。おくすり手帳にはほかに、後発医薬品(ジェネリック医薬品)使用の有無、アレルギー歴、薬の副作用が疑われる症状の履歴、薬の服用を続けているときの体調の変化、これまでにかかった病気(既往歴)なども記入できる。記載された内容は薬剤服用歴(薬歴)として医療機関や保険薬局に蓄積されており、特定薬剤の使用期間などがわかるため、次に薬を処方する際の重複処方の予防や薬剤相互作用(飲みあわせ)のチェックにも役だつ。薬局(薬剤師)は、おくすり手帳などで薬剤に関する情報を提供し、指導を行うことにより、薬歴管理指導料として報酬を得ることができる。
[編集部]