薬局(読み)やっきょく(英語表記)pharmacy

翻訳|pharmacy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

薬局
やっきょく
pharmacy

専任薬剤師が実際に管理し,医薬品の貯蔵,調剤,授与を行う場所をいう。日本では薬事法によって,薬局を開設するには都道府県知事の許可を必要とし,薬局の構造や備品などは,厚生労働省令による基準にかなうものでなければならない。薬局開設者が薬剤師でない場合は,管理責任者として専任薬剤師をおかなければならず,そこで医薬品を販売するためには,医薬品など販売業の許可を得る必要がある。日本で医事行政の組織などを最初に法制化したのは 1874年8月発布の「医制」であり,この法で,衛生行政の組織,医師の免許とその業務,薬舗,薬品,売薬などに関することを決めた。これによって,一定の資格をもつ者が経営するところを「薬舗」,無資格者の経営するところを「薬店」と区別したが,混同されやすいので,89年公布された「薬律」 (薬品営業竝薬品取扱規則) では,薬剤師が開設するものを「薬局」と区別した。薬局という言葉の初めである。 (→医薬分業 )

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デジタル大辞泉の解説

やっ‐きょく〔ヤク‐〕【薬局】

薬剤師が医薬品の調剤および販売を行う所や店。開設には都道府県知事の許可を必要とし、開設者が薬剤師でない場合には、管理者として専任の薬剤師を置かなければならない。
病院・診療所などで、薬を調合する所。

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百科事典マイペディアの解説

薬局【やっきょく】

薬剤師が調剤する場所。開業薬局と病院または診療所の薬局がある。前者は薬事法の規定により開設には都道府県知事の許可が必要で,調剤と同時に医薬品や保健・医療用具などの販売を行うことが多い。後者は医療法に規定されている調剤所のことで,その病院または診療所の患者のみに調剤を行う。1973年以降医薬分業が促進され,地域住民の医薬情報発信の場として市中の薬局が位置づけされてきている。

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世界大百科事典 第2版の解説

やっきょく【薬局 pharmacy】

薬剤師が販売または授与の目的で調剤の業務を行う場所。薬事法と医療法によって規定されているが,病院や診療所の調剤所は法的には別に扱われる。薬局の構造設備については,その面積,換気等の清潔の保持,照明度,調剤室の設置,保存設備,調剤・試験に必要な設備・備品等が詳しく規定された,厚生省令の定める基準に適合していなければならない。 薬局は,処方調剤を行い,患者に授与し対価を受ける場であると同時に,医薬分業が不徹底な日本の場合は,一般大衆薬を販売する場でもあり,薬剤師が行う技術に対して支払われる技術料を受ける場であると同時に,〈医薬品〉という商品の流通の末端を担う商行為の場という二面性をもっている。

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大辞林 第三版の解説

やっきょく【薬局】

薬剤師が薬の販売または授与の目的で調剤を行う場所。また、医薬品の販売業務を併せ行うのに必要な場所。開設には知事の許可を受けなければならず、開設者自身が薬剤師であること、または管理のための薬剤師を置くことを必要とする。
病院や診療所などで、薬剤を調合するところ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

薬局
やっきょく

薬剤師が販売または授与の目的で調剤する場所が薬局であり、薬事法により規定されている。薬局はその所在地の都道府県知事の許可を受けて開設される。その開設者は自ら薬剤師であるか、または薬剤師でない場合には専任の管理薬剤師を置かなければならない。許可の基準は、薬局の構造設備およびその薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師の員数が厚生労働省令の定めに適合し、かつ申請者が欠格条件に合致しないことである。また、医薬品を取り扱う場所であっても、許可を受けた薬局でないものには薬局の名称を付してはならないし、薬局の管理者は複数の薬局の管理者となることはできない。薬局の許可は3年ごとに更新を受けることになっている。医薬品および医療用具の販売業には一般販売業、薬種商販売業、配置販売業、特例販売業の4種があり、それぞれ都道府県知事の許可を必要とするが、薬局の開設者は業として医薬品を販売し、または販売もしくは授与の目的で貯蔵し、もしくは陳列することができる。すなわち、一般販売業の許可を得ることができる。このことは、薬局が医薬品の販売ならびに医師・歯科医師・獣医師の処方箋(しょほうせん)に対して調剤する施設であり、また特定の日本薬局方収載または日本薬局方外の製剤(国で定めた薬局製剤)の製造場所でもあることによる。なお、薬局製剤の製造には薬局医薬品製造業の許可を必要とする。また、昔は薬剤師の資格において自由に売薬を製造販売することができたが、現行の薬事法ではそれを認めておらず、特定の薬局製剤についてのみ現行法によって製造許可がなされている。
 薬局には、健康保険法に基づく療養給付の一環として保険調剤業務を取り扱う保険薬局、さらに保険薬局のうち、保険調剤のみを行い他の医薬品・医薬部外品・医療用具・その他のものを販売しない、いわゆる調剤専門薬局がある。そのほか、病院や診療所の薬局があるが、これは薬事法の薬局ではなく、医療法上の調剤所であり、薬局と称することができるとされている。[幸保文治]

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精選版 日本国語大辞典の解説

やっ‐きょく ヤク‥【薬局】

〘名〙
① 禅宗寺院で薬事を管理する役職。湯薬侍者。
※蔭凉軒日録‐文明一八年(1486)一一月一二日「春英西堂携東川上座来、有宴。〈略〉自来十五日薬局云々」
② 薬剤師が調剤を行なう所。多くは一般医薬品の販売も行なうのに便利なように設備されている。開業薬局は薬事法により規定を受ける。くすりや。
※薬品営業並薬品取扱規則(明治二二年)(1889)九条「薬剤師に非ざれば薬局を開設することを得ず」 〔癸辛雑識‐別集上・和剤薬局〕
③ 特に、医院や病院などで薬剤を調合する所。
※風俗画報‐一七五号(1898)内幸町「院長室、診察室、薬局〈略〉看護婦詰所等あり」

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世界大百科事典内の薬局の言及

【医薬品】より

…11世紀の十字軍のアラビア遠征,アラビアによる南ヨーロッパへの進攻などによる交流によって,アラビアの医薬学がヨーロッパに逆流した。ヨーロッパの各地にアラビアにならった新しい薬局が開設された。また11世紀にはギリシア・ローマ時代以来薬種を扱っていたピグメンタリウスの後継者が職人のギルトを模した〈調剤師同業組合〉(後の薬剤師同業組合)を結成し,錬金術によって発展したアラビア薬学の受け皿となり,親方による徒弟の徹底的錬金術教育が行われた。…

【薬屋】より

薬局,薬店(やくてん)(薬種商が薬の販売を行っている店)および薬問屋等の総称。薬店,薬舗,薬種屋,木薬屋(あるいは生薬屋)などの名で,店舗を構えて薬をあきなう店を薬屋と呼んだのは江戸時代に入って以来といわれている。…

※「薬局」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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