日本大百科全書(ニッポニカ) 「オニヒトデ」の意味・わかりやすい解説
オニヒトデ
おにひとで / 鬼海星
[学] Acanthaster planci
棘皮(きょくひ)動物門ヒトデ綱オニヒトデ科に属する海産動物。体は大きくて体表に鋭い棘(とげ)が多数生え、みるからに奇怪なヒトデ。直径は20センチメートル以上にもなり、腕は11~16本ある。棘は2センチメートル近くあり、表皮に毒腺(どくせん)があるので触れると危険である。体色は青灰色、黄褐色、赤褐色など個体差があるが、棘の先は赤橙(せきとう)色を帯びる。胃を膨らませて口から外へ押し出し、サンゴ礁のイシサンゴの軟体部を溶かして食べる習性がある。異常発生することがあり、一時期、オーストラリア、ミクロネシア、沖縄のサンゴ礁が荒廃の危機に面した。その原因については環境汚染説も唱えられたが、むしろ周期的な自然発生によるものとの説が有力である。分布は、西太平洋からインド洋にかけてのサンゴ礁海域で、日本近海では紀伊半島南端の生息の記録が北限である。
[重井陸夫]