改訂新版 世界大百科事典 「オヒゲシバ」の意味・わかりやすい解説
オヒゲシバ
feather fingergrass
Chloris virgata Swartz
熱帯アメリカ原産のイネ科の帰化植物。現在では全世界の暖地に広がり,道端や日当りのよい草地,近海地等の雑草となっている。一年草で株を作る。茎は根もとがややはって,節で折れ曲がり,枝分れしながら立ち上がり,高さは40cm前後である。葉は長い線形で,長さ20cmに達し,幅は5mm前後,茎の最上位の葉鞘(ようしよう)はふくらむ。秋に長さ7cmほどの花序を出し,淡緑色に多少紫色を帯び,6~10個の枝を束生して,各枝に小穂を密生する。小穂は2列に並び,1個の両性小花と2個の退化小花がある。小花には毛と長さ1.5cmほどの長い芒(のぎ)がある。日本では本州の中部以南から琉球諸島にかけて,海岸近くの草地や荒地に時々見られる。本種に似て少し小型で,穂が細いヒゲシバC.radiata Swartzは1895年熱帯アメリカから小笠原諸島に入ったが,現在では関東以西の近海地にオヒゲシバとともに帰化している。和名鬚芝(ひげしば)は長い芒と毛のある穂に由来し,男鬚芝は大型のヒゲシバの意味。この仲間は,熱帯域で牧草や芝草,時には観賞用に栽植される。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報