日本大百科全書(ニッポニカ) 「おらんだ万歳」の意味・わかりやすい解説
おらんだ万歳
おらんだまんざい
長崎市の秋祭「おくんち」に演じられる芸能の一つ。文化・文政(1804~30)のころ、古くからある二上りの地歌三絃(さんげん)曲『万歳』の合奏用に、大坂の市浦検校(いちうらけんぎょう)がオランダ渡りのオルゴールにヒントを得て作調した、変則的調弦の箏曲(そうきょく)『阿蘭陀(オランダ)万歳』が原曲である。下って1933年(昭和8)に町田佳聲(かしょう)がこれを改補し、2世花柳寿輔(はなやぎじゅすけ)の花柳舞踊研究会で和洋合奏曲として振り付け、上演された。さらに翌34年の長崎市主催の国際産業観光博覧会の際に、花柳寿太郎の補作で芸妓(げいぎ)たちが踊って、長崎くんちの名物の一つとなった。シルクハットにオランダ服、手に唐扇子の者と、鼓を持ったピエロが明清楽(みんしんがく)で踊る。
[西角井正大]