ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「市浦検校」の意味・わかりやすい解説
市浦検校
いちうらけんぎょう
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近世,大坂の盲人箏曲家。3世まであるが,いずれも生没年不詳。(1)初世 安村検校(?-1779)門下の石塚検校の弟子で,大坂の新生田流を確立。都名(いちな)はたく一。(2)2世 初世の門下で,都名は卯の一。1814年(文化11)検校登官。(3)3世 2世の門下で,都名は多賀の一。1825年(文政8)登官。1805年板《歌曲時習考(かきよくさらえこう)》の箏曲目録の改板の生田流の訂正に参加したのは初世または2世。城志賀作曲の地歌端歌《万歳》にオルゴール調子による箏替手を付け,三味線とは異なる旋律を付けた替手式箏曲への道を開いた《阿蘭陀万歳(オランダまんざい)》や,峰崎勾当(こうとう)の《越後獅子》の替手《雲井越後》,藤尾勾当の《虫の音》の替手《中空(なかぞら)越後》などの作曲や,石川勾当作曲《融(とおる)》や,岸野次郎三郎作曲《古道成寺》などの箏の手付けは,市浦検校とされるが,いずれの市浦かは不明。なお2世から3世中川検校への新生田流の伝承は,〈中筋(なかすじ)〉といわれている。
執筆者:久保田 敏子
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(千葉潤之介)
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