シルクハット(読み)しるくはっと(英語表記)silk hat

翻訳|silk hat

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シルクハット」の意味・わかりやすい解説

シルクハット
しるくはっと
silk hat

クラウンが円筒状で高く、頂上は平らで、狭いブリムは両側で折り返してある男子帽子。黒く光沢がある。1797年にイギリス人ヘザリントンJohn Hetheringtonが考案したもので、ビーバー製であったため、シルク・ビーバーとよばれたが、しだいに絹のフラシ天仕上げ(起毛仕上げ)に変わっていった。1830年ごろから非常に人気が出て、19世紀中は若者たちなどにより一般的に用いられた。同世紀末からは正式礼装用となり20世紀前半までかぶられた。また、くだけた服装として黒以外の色が用いられることもあった。女子の正式な乗馬用帽子にも19世紀中ごろからかぶられている。トップハットtop hat、ハイハットhigh hatなどとよぶこともある。

[浦上信子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シルクハット」の意味・わかりやすい解説

シルクハット
silk hat

トップハットともいう。一般に毳 (けば) のある絹で作った,縁のある円筒帽。男性用の正式礼帽で,女性も乗馬服に用いる。頂きは平らで,いわゆるメロン形の山高帽とは区別される。祖型は 16~17世紀のビーバーハット (海狸帽) にみられるが,1797年ロンドンの帽子屋 J.ヘザリントンの案出したものに始るとされ,1790年代の若者や共和主義者にかぶられ,19世紀初頭の長ズボンの着用と並行して一般化した。素材はビーバーから絹に変り,シルクハットの呼称が生じた。類似した型の帽子の名称にはチムニーポットハット,ポスティリアンハット,オペラハット,クェーカーハットなどのほか,アメリカのビーガムハットなどがある。

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