カッシアヌス(その他表記)Johannes Cassianus

改訂新版 世界大百科事典 「カッシアヌス」の意味・わかりやすい解説

カッシアヌス
Johannes Cassianus
生没年:360ころ-435

東方修道制の理念と実際を西方に紹介した修道士。小スキュティア(現,ルーマニア)出身とされる。最初ベツレヘム修道院に入り,のちエジプトで本格的な修道生活を実践した。4世紀末コンスタンティノープルで主教クリュソストモスに会い,聖職についた。415年ころマルセイユの近くに男子と女子の二つの修道院を創設した。主著《共住修道士の掟および八大悪徳の救済》12巻は,修道制の組織と霊的生活の方法を述べた指針として,ベネディクトゥス会則をはじめ西方の修道院規則の基礎となっている。神学者としては,人間の自由意志を神の恩寵に優先させる半ペラギウス主義の代表者であった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カッシアヌス」の意味・わかりやすい解説

カッシアヌス
Cassianus, Johannes

[生]360. ドブルージャ
[没]435. マルセイユ
修道士,半ペラギウス的神学 (→半ペラギウス説 ) に立つ神学者。若くしてベツレヘム,エジプトで修道生活をおくり,399年頃コンスタンチノープルに出てクリュソストムスによって助祭に任じられた。 405年ローマの司祭。 415年マルセイユに行き,その地に聖ビクトール修道院を創設。また同地に女子修道院も創設した。東方の修道生活を西方に伝えるに力があった。また修道院の生活と制度についての彼の著作は,のち数世紀にわたってキリスト教世界に大きな影響を及ぼした。神学的には,『主の受肉について』 De incarnatione Dominiを著わして半ペラギウス主義の立場に立ち,人間の力である程度神の恩恵を獲得しうると考えた (→恩恵論争 ) 。主著『修道院綱領』 De institutis coenobiorum。

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