改訂新版 世界大百科事典 「カリオタ」の意味・わかりやすい解説
カリオタ
fish-tail palm
Caryota
ヤシ科の中高木で,幹は単生または束生する。葉は2回羽状複葉。羽片は互生し,扇形または三角形で先端は切頭歯状。葉鞘(ようしよう)は背面に稜があり,ふちにはしゅろ毛がある。花は単性,雌雄同株。肉穂花序は通常,単一分岐で多く分岐し,下垂し,一つ一つの花序は穂状で馬尾状。果実はサクランボ大で紫色に熟し,なかに1~3個の種子を有する。種子はやや球形または扁圧され,胚乳は錯道状。インドからマレー半島,さらにソロモン群島やオーストラリア北東部に12種を産する。特徴的な葉形をしており,熱帯では広く観賞用に栽植される。日本でも2種が栽培されている。寒さには弱い。それらのうちクジャクヤシC.urens L.(英名wine palm/toddy palm)は花軸の液から砂糖,酒をつくり,幹からサゴデンプンをとることで有名である。葉鞘からとれる繊維で漁網,縄索をつくり,若葉は野菜とし,葉は家畜の飼料となり,幹材を造船用とする。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報