カルゴ(その他表記)cargo

翻訳|cargo

改訂新版 世界大百科事典 「カルゴ」の意味・わかりやすい解説

カルゴ
cargo

中南米の原住民村落の自治的な行政・祭祀組織のポストの総称。男子は所定のポストを占めることで一人前村民としての資格を得ていく。行政上の低いカルゴの役は村役の使い走りから始まり,祭祀では教会(司祭)の雑用が主である。一人の男は行政・祭祀両方のカルゴの間を階梯的に上昇していき,すべての役を務め上げた者が長老格として尊敬を集め,村の夫役を免除される。カルゴは金銭上の出費と時間的負担に代表される一方的奉仕にその特徴があり,ことに村のさまざまな祭りでの酒宴や花火・楽隊などの費用を負担する。このようにしてカルゴ・システムは,財の偏重によって起こる村内の不平不満による社会的緊張の緩和に役立っているほか,農耕原住民の地域社会と国家の間をつなぐ役割をにない,また祭祀面では祭りの執行を通じて,彼らの閉ざされた狭い宗教世界をカトリック教会へとつないでいく。しかし中米グアテマラ,メキシコの高地農村地帯では,現在でも行政・祭祀の両機能を果たしているが,南米のアンデス高地の農村地帯では,行政上のカルゴは消滅の一途にあり,祭祀上のカルゴが祭祀の当番という形で存続しているのみである。
宮座
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカルゴの言及

【カーゴ・カルト】より

…1880年代から今日にいたるまで,主としてニューギニアおよびメラネシアの各地で起こった千年王国主義的宗教運動。〈積荷崇拝〉と訳す。これらの地方では,19世紀後半になってから,イギリス,ドイツなどによって本格的に植民地化が進められた。植民地体制が整うに従って,現地の人々は社会的,経済的,政治的に劣位におかれ,抑圧された。このような状況のなかで,各地にカリスマ的予言者が現れ,神々を信仰することによって至福の世界が到来すると予言し,宗教運動を組織した。…

【貨物】より

…国際,国内を問わず輸送の対象となる物品を貨物goods,freight,cargoという。国際的にも国内的にも生産の分業化が進展するにつれて商品取引が拡大し,市場の地域的拡大も進む。…

※「カルゴ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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