カルマン症候群(読み)かるまんしょうこうぐん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルマン症候群」の意味・わかりやすい解説

カルマン症候群
かるまんしょうこうぐん

嗅覚(きゅうかく)の完全な喪失消失を伴う無嗅覚症(低嗅覚症)あるいは嗅覚消失とよばれる症状と、性腺(せいせん)機能不全を合併する先天性疾患。嗅覚性器症候群ともよばれる。伴性潜性遺伝のほか多様な遺伝形式をとるが、孤発例もみられる。ドイツ生まれのアメリカ人遺伝学者カルマンFranz Josef Kallmann(1897―1965)によって、1944年に報告された。日本では公費対象の小児慢性特定疾病に認定されているが、世界的にも発症率は高く男子の1万人に1人とされ、日本男子では5万人に1人の割合で発症する。圧倒的に男子に多く女子の発症はその15~20%程度とされる。嗅覚障害は嗅球の形成不全や無形成が原因となり、性腺機能低下は視床下部からの黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)が合成されない産生障害による分泌低下が原因となる。第二次性徴がみられないことで気づかれることが多く、男子ではテストステロンの低値、女子ではエストラジオールの低値が認められる。治療は性腺機能不全に対してLHRHを投与することで改善がみられる。

[編集部 2016年7月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例