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嗅覚障害 きゅうかくしょうがいdysosmia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

嗅覚障害
きゅうかくしょうがい
dysosmia

嗅覚の減退,脱失 (欠如) ,あるいは反対に過敏,錯覚などの異常のこと。嗅覚減退や脱失は各種の鼻疾患,頭部外傷,感染症などによって匂いが嗅細胞に到達しないときや,嗅上皮,嗅神経など自体に障害が生じたときにみられる。原因疾患の治療のほか,物理療法薬物療法が試みられる。嗅盲は,特定の物質の匂いがわからない先天的な異常である。一方,嗅覚過敏や錯覚 (錯臭症または異臭症) は,局所の障害よりも種々の全身的変化 (妊娠など) や精神的異常によって生じる。

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百科事典マイペディアの解説

嗅覚障害【きゅうかくしょうがい】

嗅覚とは,鼻の奥の粘膜(嗅粘膜)にある嗅上皮という感覚細胞が,呼吸と一緒に吸い込んだ嗅素(臭いのもと)をとらえ,それが嗅神経を通じて脳に伝わり,臭いを感知するという仕組みになっている。

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家庭医学館の解説

きゅうかくしょうがい【嗅覚障害 (Anosmia, Hyposmia)】

嗅覚障害とは
 においを感じる嗅覚になんらかの異常がおこることを嗅覚障害といいます。嗅覚障害の症状は、大きくつぎの5つに分けられます。
①においがまったくわからなくなる嗅覚脱失(きゅうかくだっしつ)。
②においをかぐ力が弱くなる嗅覚減退(きゅうかくげんたい)。
③においにひどく敏感になる嗅覚過敏(きゅうかくかびん)。
④どんなにおいも悪臭として感じる嗅覚錯誤(きゅうかくさくご)。
⑤においがしないのに、においを感じる嗅覚幻覚(きゅうかくげんかく)。
●嗅覚のしくみ
 鼻中隔(びちゅうかく)と中鼻甲介(ちゅうびこうかい)の間の嗅裂(きゅうれつ)という部分に、においを感じる嗅細胞(きゅうさいぼう)が存在する嗅粘膜(きゅうねんまく)があり、嗅神経を介して脳とつながっています。
 においのもとは嗅素という化学物質です。空気中の嗅素が鼻腔(びくう)に入り、嗅細胞に到達すると、その刺激が脳に伝えられて、においとして感じられます。これらの嗅覚のしくみのどこかに異常がおこると嗅覚障害になります。
●嗅覚障害の原因
 嗅覚障害はさまざまな原因でおこりますが、慢性の鼻の病気が多数を占めています。
 嗅覚障害の原因には、鼻(び)・副鼻腔炎(ふくびくうえん)、鼻(はな)アレルギー鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)、鼻・副鼻腔の腫瘍(しゅよう)、ウイルス感染(かぜ)、有毒ガス吸入によるもの、放射線療法後のものがあります。また、頭部外傷後遺症、頭蓋内(ずがいない)腫瘍、頭蓋内手術後や、抗がん剤テガフール)などの薬剤性嗅覚障害もあります。
 このほか、先天性の嗅覚障害や、加齢による嗅覚減退や嗅覚脱失、また妊娠時にみられる嗅覚過敏、さらに神経症ヒステリー統合失調症(とうごうしっちょうしょう)、薬物中毒で嗅覚過敏や嗅覚幻覚などの症状がおこることがあります。
●治療
 治療で治りやすいのは、鼻・副鼻腔炎、鼻茸(はなたけ)、鼻中隔弯曲症、鼻アレルギーなどの鼻の病気による嗅覚障害です。ウイルス感染、薬剤性、頭部外傷後、頭蓋内手術後などによるものは治りにくい嗅覚障害です。
 嗅覚障害の治療法には、薬物療法と手術療法があります。薬物療法の中心は、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンの点鼻薬(てんびやく)を用いた点鼻療法です。
 副腎皮質ホルモン点鼻療法は、長期的に行なうと体重増加、顔が腫(は)れる(満月様顔貌(まんげつようがんぼう))、にきびのような発疹(ほっしん)が出るなどの副作用がおこることがあります。医師の指示にしたがって点鼻薬の使用量を守り、1日2回の点鼻を3か月間ほど行ないますが、この期間内では、通常、副作用はとくに問題ありません。
 このほかの薬物療法としては、ビタミンA剤やビタミンB12剤、原因となっている鼻・副鼻腔の炎症やアレルギーに対する薬の内服治療があります。
 鼻・副鼻腔炎、鼻茸、鼻中隔弯曲症、鼻アレルギーといった鼻の病気があり、薬物療法で嗅覚障害が改善しない場合は、手術療法を行なうこともあります。
 手術方法は、鼻中隔の手術、鼻甲介の手術、副鼻腔の手術に分けられます。手術療法で鼻腔内の形態異常を矯正(きょうせい)し、また嗅裂や副鼻腔の病気を取り除くことによって、鼻腔内の空気の通りや、嗅粘膜およびその周辺の炎症を改善します。嗅裂部および副鼻腔の手術には、細い鼻用内視鏡を使用した内視鏡下鼻内手術(ないしきょうかびないしゅじゅつ)を行なうと、より繊細な手術操作が正確にできるので有用です。
 症例によっては、これらの手術後に前述した副腎皮質ホルモン点鼻療法を行ないます。

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大辞林 第三版の解説

きゅうかくしょうがい【嗅覚障害】

嗅機能が永続的に低下、または過敏になった状態。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

嗅覚障害
きゅうかくしょうがい

においの感覚が冒された状態をいう。嗅覚の鋭敏さが悪くなったものを嗅覚脱失あるいは嗅覚減退といい、もっともよくみられる状態である。ときには異常に敏感になることもあり、これを嗅覚過敏といい、ヒステリー、神経症、ストリキニン中毒などにみられる。まれには、においの性質を変化して感じることがある。たとえば、花のよい香りを嫌なにおいに感ずる場合などであり、これを嗅覚錯誤とか嗅覚倒錯という。潜在性の副鼻腔(びくう)炎やかぜのあとなどにみられることがある。
 嗅覚減退や脱失は、呼吸性、末梢(まっしょう)神経性、中枢神経性の障害に分けられる。呼吸性とは、鼻道が狭くなって嗅素(においをおこす物質)が固有鼻腔の嗅裂にある嗅上皮まで達しないためにおこるもので、鼻茸(はなたけ)、鼻中隔彎曲(わんきょく)症、鼻炎、腫瘍(しゅよう)などが原因となる。末梢神経性とは、嗅上皮の嗅細胞に障害があるためにおこるもので、副鼻腔炎、鼻炎、刺激性ガスの吸入などによっておこる。中枢神経性とは、大脳の嗅覚中枢、あるいは中枢までの神経路に障害があるためにおこるもので、脳の腫瘍や外傷などのほか、ヒステリーや神経症などでもおこることがある。治療としては、それぞれ原因的疾患の除去が主となる。[河村正三]

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世界大百科事典内の嗅覚障害の言及

【嗅覚】より

…つまり,ガスもれに気づくのが遅れたり,料理に必要な香りや味の調合に支障をきたすからである。しかし最近は嗅覚障害の治療法も進んできた。嗅覚障害を調べる検査を嗅覚検査という。…

※「嗅覚障害」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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