改訂新版 世界大百科事典 「カーリーバンガン」の意味・わかりやすい解説
カーリーバンガン
Kalībangan
インドのラージャスターン州北部ガンガナガル地区にあるインダス文明都市期の都市遺跡。ガッガル涸川の岸に位置する。1961年からインド考古局のラールB.B.LālとターパルB.K.Thaparが発掘。インダス文明の他の都市と同じく,東に市街,西に城塞を配置し,双方とも南北に長く,東西が平行する四辺形で,城壁・市壁ともに突角堡を備える。城塞は東西幅120m,南北長240m。市街は東西幅240m,南北長360m。120mが基数で,その倍数に従う。城塞は人工築壇上を南北に区分し,北が大建築の住宅区,南はより堅固な厚い城壁をもつ祭祀場。穀物倉はどこにも見あたらず,モヘンジョ・ダロやロータルと異なる。城塞南区の祭祀場はいくつもの日乾煉瓦積み基壇より成り,その上に火を焚いた囲い跡,井戸,犠獣を埋葬した日乾煉瓦囲いがある。これは他の都市に見ない特異な施設である。市街地の道幅は1.8mが単位で,その倍数に従い,建材はみな日乾煉瓦であり,焼煉瓦は排水溝,城塞入口,祭祀場に限定されていて,テラコッタ女性小像が全く出土しないこととともに,モヘンジョ・ダロやハラッパーと異なった様相をみせている。また,城塞構築以前のインダス文明とは別の文化(コト・ディジ)に属する囲壁をもつ遺構が検出されている。
執筆者:桑山 正進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報