ガニベ(読み)がにべ(その他表記)Ángel Ganivet

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガニベ」の意味・わかりやすい解説

ガニベ
がにべ
Ángel Ganivet
(1865―1898)

スペインの作家、思想家。グラナダに生まれる。初め大学教授を目ざしたが失敗、外交官の道に進む。アントワープヘルシンキなどで領事をしながら、エッセイ、小説、戯曲などを書く。とくに祖国の再生を論じた『スペインの理念』(1897)は、ペシミスティックな理想主義、現実よりもむしろ夢想に傾く思想などによって、ウナムーノなど「1898年の世代」に先行し、それに重なる。アメリカ・スペイン戦争敗北の年、最後の任地ラトビア共和国の首都リガで投身自殺を遂げた。作品にはほかに、19世紀スペイン小説の傑作の呼び声高い『不屈の創造家ピオ・シッドの辛苦』(1898)、詩劇『己(おの)が魂の彫師』(1904)などがある。

[佐々木孝 2015年11月17日]

『橋本一郎他訳『スペインの理念』(1974・新泉社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android