化学辞典 第2版 「ガモフのα崩壊の理論」の解説
ガモフのα崩壊の理論
ガモフノアルファホウカイノリロン
Gamow theory of α-disintergration
原子核のα崩壊の現象を,G. Gamowがはじめて量子力学により説明した理論.ガモフ-コンドン-ガーニー(Gamow-Condon-Gurney)の理論ともいう.いま,半径Rの核表面に核内でつくられたα粒子が,単位時間に λ0 回現れるとする.核外には核-α間のクーロン斥力ポテンシャル
の障壁があり,これはα粒子の運動エネルギーEより大きい.いま,r = bなる距離で
V(r=b) = E
とする.古典力学では粒子はR < r < bの領域を通りえないが,量子力学では粒子は e-G の割合にまで大きく減衰しながらもこの領域を通り抜けるトンネル効果をもつ.したがって,崩壊定数は
λ = λ0e-G
で表される.Gはガモフ因子とよばれ近似的に,
で与えられる.この理論の結果は,α崩壊のEとλに関した実験的傾向をよく説明する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報