放射性物質または不安定な状態にある原子核や粒子が崩壊する際の単位時間当りの確率を表す定数。安定でない状態にある原子核や粒子は、種々の粒子や、γ(ガンマ)線などの電磁波を放出して崩壊する。この崩壊は個々の原子核や粒子については偶然に支配される確率現象であるが、非常に多数の崩壊する同じ原子核の集まりや同じ粒子の集まりについては、単位時間に崩壊する割合λ(ラムダ)は一定の値となる。この値λを崩壊定数という。崩壊定数は崩壊する原子核や粒子の状態の種類一つ一つに対して固有な一定の値をもつ。たとえば、自然放射性原子核系列にあるポロニウム原子核210Poはα(アルファ)崩壊して鉛原子核206Pbにかわる。この210Poの崩壊定数は1秒当りの崩壊確率として、λ=5.8×10-8で与えられる。このような崩壊定数λは、放射性原子核に対してよく用いられている半減期T1/2とは、次の逆比例の関係式で結ばれている。T1/2=0.6931/λ(秒)。
[池田清美]
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放射性核種が崩壊する場合には,その性質は核種に独特のもので,外的条件に依存しない.単位時間に崩壊する放射性核種の原子数は,存在する原子数にのみ比例し,この比例定数を崩壊定数という.壊変定数とよぶこともある.いま,時間tにおける原子数をNとしたとき,単位時間に崩壊する原子の数はλNで表される.ここで,λは崩壊定数である.放射性核種の量がはじめの量の半分に減るのに要する時間,すなわち半減期 T1/2 と崩壊定数の間には,
T1/2 = 0.69315/λ
の関係がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…崩壊に伴って,α線,β線,γ線などの放射線が放出されるが,その強度も半減期ごとに,1/2,1/4,1/8,と1/2ずつ減少していく。崩壊定数λとは,T1/2(loge2)/λ=0.693/λの関係にある。核分裂や核融合で多種の放射性同位体が同時に生成される場合,半減期の短いものは早くなくなり,長い半減期のものは後まで残ることになる。…
…軌道電子捕獲をβ崩壊に加える場合もある。 ある放射性同位体の,ある核種が単位時間に崩壊する確率は,その核種固有の定数であり,崩壊定数または壊変定数と呼ばれる。いまN個の放射性同位体が存在するとき,単位時間当りの崩壊の数(例えばdps(disintegration per second))はNに比例し,その比例定数が崩壊定数に等しい。…
※「崩壊定数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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