日本大百科全書(ニッポニカ) 「キアイ」の意味・わかりやすい解説
キアイ
きあい / 木藍
藍色の染料植物としてよく知られているものは草であるタデ科の一年草アイであるが、木にも藍色染料となるものがあり、これを木のアイ、すなわちキアイとよぶ。キアイにはマメ科コマツナギ属の数種と、キツネノマゴ科のリュウキュウアイStrobilanthes cusia O.Kuntzeなどがあり、いずれも葉を染料として用いる。コマツナギ属のものはインドを中心として生産され、ナンバンコマツナギ(インドアイ)Indigofera suffruticosa Mill.ともいう。木の高さは1、2メートル、葉は9~13枚の小葉からなる奇数羽状複葉。なかでもインド南部産のタイワンコマツナギI. tinctoria L.が著名で、藍色色素インジゴが化学合成されるまでは主要な藍色染料であった。リュウキュウアイは、アジアの熱帯から亜熱帯で栽培されており、沖縄ではこの葉の藍色染料で芭蕉布(ばしょうふ)などを染めたが、最近ではあまり用いられなくなった。
[星川清親 2020年12月11日]