きっしり(読み)キッシリ

デジタル大辞泉 「きっしり」の意味・読み・例文・類語

きっしり

[副]
物事がぴったりと合うさま。きっちり。しっくり。
輿こしは―とうま馬車の中に納った」〈漱石・思ひ出す事など〉
ぎっしり」に同じ。
「その外は―人で詰まっている」〈鴎外灰燼

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「きっしり」の意味・読み・例文・類語

きっしり

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 多く「と」を伴って用いる )
    1. 物がよく適合するさまを表わす語。きっちり。しっくり。きしり。
      1. [初出の実例]「威儀容貌そろうて、きっしりと立て」(出典:絅斎先生敬斎箴講義(17C末‐18C初))
      2. 「輿はきっしりと旨く馬車の中に納った」(出典:思ひ出す事など(1910‐11)〈夏目漱石〉三二)
    2. 心に強くひびくさまを表わす語。
      1. [初出の実例]「おもはくらしう、顋(おとがい)を襟の中へさしこみし粧ひ、三ぶが魂へきっしりと徹(こた)へ」(出典浮世草子傾城禁短気(1711)三)
    3. すきまなくつまっているさまを表わす語。ぎっしり。〔詞葉新雅(1792)〕
      1. [初出の実例]「その外はきっしり人で詰まってゐる」(出典:灰燼(1911‐12)〈森鴎外〉一)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 心と心とがしっくりと通じ合った仲、また、その人。情人。安永から天保にかけての語。
    1. [初出の実例]「おまへもよいきっしりをこしらへて」(出典:滑稽本・大平楽国字解(1776)三)

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