改訂新版 世界大百科事典 「オオハシ」の意味・わかりやすい解説
オオハシ (大嘴)
toucan
キツツキ目オオハシ科Ramphastidaeの鳥の総称。その名のように,非常に大きなくちばしをもつことで,サイチョウ類とともに有名である。巨大なくちばしは,種によっては体長ほどあるが,内部は骨質の繊維が網目状に走っていてたいへんに軽い。全長30~60cmの中・大型の鳥で,眼の周囲の皮膚が裸出し,尾は長く,強力な脚は対趾足(たいしそく)である。羽色は雌雄同色で,赤色,黄色,緑色,青色,白色,黒色などのはでな色彩をしていて,くちばしも鮮やかな色である。大きくて色鮮やかなくちばしは,仲間の識別に役だっていると考えられる。熱帯林の樹上に数羽から数十羽の群れですみ,夜になると,同じ樹洞に数羽がいっしょに入って寝る種もいる。果実類を主食とし,縁が鋸歯状になった大きく長いくちばしで枝から果実をもぎとり,大きな実は砕き,小さな実はそのままくちばしの先端にくわえ,頭を上方にぴょいと上げて,くちばしを開いてのどの中にほうり込んで食べる。繁殖期には,高木の樹洞やキツツキ類の巣穴を利用し,穴の底に直接2~4個の白い卵を産む。メキシコからアルゼンチンにかけて約37種が分布する。
オオハシ科は大型のオオハシ類,中型のチュウハシ類,小型のコチュウハシ類,ヤマチュウハシ類,ミドリチュウハシ類に分けられ,代表種としては,全長64cm,橙色のくちばしをもち,羽色は黒色で,顔,胸,腰が白く,下尾筒が赤いオオオオハシRamphastos toco,全長37cm,黄色と暗赤色のくちばしをもち,頭から胸が黒く,上面が緑色,下面が黄色のキムネチュウハシPteroglossus viridisがいる。
執筆者:齋藤 隆史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報