改訂新版 世界大百科事典 「キマメ」の意味・わかりやすい解説
キマメ
pigeon pea
dhal
Cajanus cajan(L.)Millsp.
熱帯の,特に乾燥地で主に栽培されるマメ科植。若い豆果を野菜にし,熟した種子から油を採ったり,それを砕いてスープに用いたり,粉にして食べる。高さ1~3mの低木で,枝は灰色の短い毛でおおわれる。葉は3小葉。小葉は披針形で長さ5~10cm,幅1~3.5cm,両面に毛があり,裏面には黄色の小腺点もある。花は蝶形花で,長さ3~7cmの腋生(えきせい)の総状花序につく。萼には短毛と腺点とがあり,先は5個に裂ける。花弁は黄紅色,長さ1.5~2cm,旗弁の背面には紫褐色の脈がある。豆果はやや扁平な狭長方形,長さ4~7cm,黄色の柔毛でおおわれ,種子と種子の間はくびれる。種子は3~5個,ほぼ円形で熟すと暗紅色となる。原産地はインドと考えられているが,種子を食用にするため,今日では熱帯から暖帯で広く栽培されている。葉は飼料,根は薬用として解熱,解毒,止血,痛み止めなどに用いるという。
執筆者:大橋 広好
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報