キマメ(その他表記)pigeon pea
dhal
Cajanus cajan(L.)Millsp.

改訂新版 世界大百科事典 「キマメ」の意味・わかりやすい解説

キマメ
pigeon pea
dhal
Cajanus cajan(L.)Millsp.

熱帯の,特に乾燥地で主に栽培されるマメ科植。若い豆果を野菜にし,熟した種子から油を採ったり,それを砕いてスープに用いたり,粉にして食べる。高さ1~3mの低木で,枝は灰色の短い毛でおおわれる。葉は3小葉。小葉は披針形で長さ5~10cm,幅1~3.5cm,両面に毛があり,裏面には黄色の小腺点もある。花は蝶形花で,長さ3~7cmの腋生(えきせい)の総状花序につく。萼には短毛と腺点とがあり,先は5個に裂ける。花弁は黄紅色,長さ1.5~2cm,旗弁の背面には紫褐色の脈がある。豆果はやや扁平な狭長方形,長さ4~7cm,黄色の柔毛でおおわれ,種子と種子の間はくびれる。種子は3~5個,ほぼ円形で熟すと暗紅色となる。原産地はインドと考えられているが,種子を食用にするため,今日では熱帯から暖帯で広く栽培されている。葉は飼料,根は薬用として解熱解毒止血痛み止めなどに用いるという。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のキマメの言及

【豆】より

…南アメリカ原産のインゲンマメはアフリカやインドでも主食的に利用される重要な豆類であるし,ボリビア原産のラッカセイは,その高い脂肪含有量のため広く食用にされ,どちらも世界の各地で栽培されている。その他にも〈もやし〉に多用されるインド原産のリョクトウ,若い豆果が野菜とされるアフリカ原産のササゲ類(ササゲ,ヤッコササゲ,ジュウロクササゲなど)や,熱帯アジア原産のナタマメやシカクマメPsophocarpus tetragonolobus(英名fourangled bean),それに加えて中央アメリカや南アメリカ原産のライマメPhaseolus lunatus(英名lima bean),ベニバナインゲン,インド原産のヒヨコマメフジマメ,アフリカ原産のキマメなど,多数の種が栽植され,利用されている。これら熱帯系の豆類のうちのいくつかは,温帯圏での夏作作物となっており,日本でも栽培されている。…

※「キマメ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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