日本大百科全書(ニッポニカ) 「キュアリング貯蔵」の意味・わかりやすい解説
キュアリング貯蔵
きゅありんぐちょぞう
おもにサツマイモで利用される大量貯蔵法の一種。サツマイモは収穫時の傷口から貯蔵中に腐敗しやすい。しかし、掘り取ったサツマイモを適当な温度・湿度に置くと、傷口の表皮下にコルク層ができて自然治癒する。これをキュアリングcuringとよぶ。この性質を利用して、貯蔵初期にコルク層形成を早めるために収納庫内の温度を30~33℃、湿度90~95%の条件にして3~4日置く。その後、速やかに放熱して、以後、13~14℃の適温に調節して貯蔵する。この方法をキュアリング貯蔵法とよび、現在そのための貯蔵施設がつくられて、普及、実用化されている。キュアリングによって、いものデンプンの一部は分解してデキストリンとショ糖になり、タンパク質の加水分解も進む。このためキュアリングしたいもは粘質となり甘味を増し、外皮が滑らかになる。なお、サツマイモは貯蔵温度が15℃以上に保たれると萌芽(ほうが)して貯蔵養分が減少するし、9℃以下では腐りやすい。
[星川清親]