キリストの昇天(読み)キリストのしょうてん(その他表記)Ascension

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キリストの昇天」の意味・わかりやすい解説

キリストの昇天
キリストのしょうてん
Ascension

キリスト教美術の主題。天にのぼるイエスとそれを助ける天使,地上でこれを仰ぎみる使徒聖母などによって形成されるこの図像は,『使徒行伝』1章9~11を典拠としているが,2つの類型に分けることができる。1つは天使または聖父の手に引かれて天にのぼるイエスを背面あるいは側面から見て表現したもので,西方の初期キリスト教美術に多く,もう1つは天使によって支えられた大光背中に正面を向いた立ち姿あるいは玉座上の坐像で上昇するイエスを表わしたもので,ビザンチン美術に多い。しかし時代とともに2つのタイプは融合され,ゴシック,ルネサンス時代になると,自力で宙に浮いているイエスの姿が表わされるようになる。シリア語の『ラブラの福音書』 (586) 挿絵,あるいはジョットが 14世紀初頭スクロベーニ家礼拝堂 (アレーナ礼拝堂) に描いたフレスコ画 (1305~10) などが有名である。

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世界大百科事典(旧版)内のキリストの昇天の言及

【昇天】より

…〈キリストの昇天Ascension of Christ〉をいう。復活後のキリストは数回の〈出現〉ののち,使徒たちの見ている前で天にあげられ神の右に座したとされる(《ルカによる福音書》24:50~51,《マルコによる福音書》16:19,《使徒行伝》1:9~11)。…

※「キリストの昇天」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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