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使徒 しとApostolos

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

使徒
しと
Apostolos

ギリシア語アポストロスは「派遣者」の意。原始キリスト教では,「キリストが私をつかわされたのは,バプテスマを授けるためではなく,福音を述べ伝えるためである」 (コリント1書1・17) というパウロの言葉に示されるように,アポストロスは「全権を委託された伝道者」である (ただし伝道者は別に euangelistēsといわれている) 。共観福音書では 12人の弟子が使徒とされており,キリストは彼らに悪霊を制する権威を授け,宣教に派遣した。また彼らはキリストとともにある者ともされている (マタイ福音書 10・2,マルコ福音書3・13~14) 。『使徒行伝』では,使徒の条件はヨハネのバプテスマのときからキリストの昇天まで行動をともにし,主の復活の証人となりうる者とされている (1・22) 。一般にはこの 12使徒にパウロを加えた人々が使徒と呼ばれるが,パウロの手紙においては使徒は 12人に限られておらず,パウロ自身のほかにキリストより特別に選ばれた他の宣教者が使徒と呼ばれている。キリストはパウロによれば,キリストのからだである教会のなかで使徒を第1位におき,預言者,伝道者,牧師,教師とともに聖徒たちを整えて奉仕のわざをさせ,キリストのからだを建てさせ「神の子を信じる信仰の一致と彼を知る知識の一致」に導くことをその使命とした (エペソ書4・11~13) 。キリスト教会はキリストの権威と言葉が使徒に託されたものと信じ,使徒を教会の礎とみなしている。

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デジタル大辞泉の解説

し‐と【使徒】

福音を伝えるためにイエス=キリストによって最初に選ばれた12人の弟子。ペテロ(シモン)・アンデレヤコブヨハネ・ピリポ・バルトロマイ・トマスマタイ・アルパヨの子ヤコブ・タダイ・熱心党のシモン・イスカリオテのユダ。ユダ脱落後はマッテヤが選ばれた。パウロは復活のキリストから委任されたと伝える。十二使徒
神聖な目的に献身する人。「平和の使徒

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百科事典マイペディアの解説

使徒【しと】

ギリシア語apostolos,英語Apostleなどの訳で,原義は〈遣わされた者〉。初期キリスト教において重要な地位を占めた指導者群の称。狭義にはイエス・キリストに選ばれ,福音を宣(の)べる権威をゆだねられた〈十二使徒〉をさす。

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世界大百科事典 第2版の解説

しと【使徒 Apostles】

原始キリスト教会において最重要の地位を占め,大きな権限を委託された指導者群をさす。その中核にはイエスが選んだとされる十二弟子(十二使徒)がいたとも考えられるが,十二弟子そのものの歴史性を疑問視する学者もいる。しかしパウロの《コリント人への第1の手紙》15章5節以下が示している最初期の宣教の要約は,実際にはイスカリオテのユダを欠いて十一人となっていたはずの弟子グループをそのまま〈十二人〉と表示することによって,それがすでにきわめて早い時期に固定化されたひとつのまとまりを意味していたことを暗示していることは注目すべきである。

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大辞林 第三版の解説

しと【使徒】

キリストの福音を伝えるために遣わされた者。一般的には、キリストに選ばれ特別の権能を授けられた一二人の弟子が十二使徒とも呼ばれるが、新約文書で使徒を一二人に限定したのはルカだけであり、後代の教父が十二使徒に絶大な権威を付与した。パウロは復活のキリストにより自らも使徒とされたと主張する。
神聖な仕事に献身的な努力をする人。 「平和の-」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

使徒
しと
apostolosギリシア語

このギリシア語アポストロスは「派遣された者」「使者」を意味する。古典ギリシア語ではもと海軍の遠征を意味した。聖書的用法はむしろラビ的ユダヤ教の「使者」を意味するヘブライ語に起源をもつと思われる。その正しい意味は「全権を委任された者」である。こういう一般的な意味では「教会の使者」(「コリント書」8章23)、「あなたがたの使者」(「ピリピ書」2章25)というように用いられている。またその意味では、イエスは神からの「使者」とよばれている(「ヘブル書」3章1、「ヨハネ伝福音(ふくいん)書」17章18)。しかしこのことばは慣用語としては「使徒」と訳され、イエス・キリストによって直接選ばれ、福音を宣(の)べ伝え、悪霊を追い出し、病気をいやす力(「マタイ伝福音書」10章1、「ルカ伝福音書」9章1、「マルコ伝福音書」6章7)を授けられて派遣された者を表すのに用いられている。いわゆる十二使徒がそれである(「マルコ伝福音書」6章30、「マタイ伝福音書」10章2、「ルカ伝福音書」6章13)。十二という数は、神の民を象徴するイスラエルの十二部族に基づくもので、新しい神の民(教会)の中核を表すものと思われる。さらに終末には十二部族(旧約の神の民)と十二使徒(新約の神の民)が一つにされ、神の都を形成すると記されている(「ヨハネの黙示録」21章10~14)。
 イスカリオテのユダの脱落による欠員は、ただちにマッテヤの選出によって補われた(「使徒行伝(ぎょうでん)」1章21~26)。このときの使徒の資格は、地上生涯のイエスと直接行動をともにした者で、復活の証人であるということであった(「使徒行伝」1章22、2章32)。やがて「使徒」という名称は十二使徒以外の人々にも用いられるようになった。パウロは復活のキリストから直接に使徒として委任されたといっている(「ガラテヤ書」1章1、「コリント書」12章11、12)。バルナバも使徒とよばれた(「使徒行伝」14章4、14)。使徒は教会の教職のなかではもっとも権威があった(「コリント書I」12章28、「エペソ書」4章11)。[野口 誠]

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