ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「きん輔」の意味・わかりやすい解説
きん輔
きんほ
Jin-fu; Chin-fu
[没]康煕31(1692)
中国，清初の政治家で黄河の治水に努めた。字は紫垣。諡は文襄。 鑲黄旗漢軍旗人。先祖は山東省済南の人であったが，明朝の洪武年間 (1368～98) に遼東に移り，衛所の百戸，千戸に任じられていた。きん輔は清朝に仕官し，翰林院編修から武英殿学士兼礼部侍郎を経て康煕 10 (1671) 年に安徽巡撫に特命され，この地方の干害対策に努め，また三藩の乱に呼応した江西饒州の営兵の乱を鎮定した。駅伝の費用の節減などに手腕をふるい，同 16年には河道総督に任命された。就任後黄河を調査し，広く意見を徴して8項目の黄河修理案を上奏し，同 17年に着工したが，同 21年に黄河は再び氾濫した。その責任追及も激しかったが，康煕帝はきん輔に工事の継続を命じ，同 22年に黄河の流れは故道に回復した。同 26年に治水問題の対立から罷免されたが，同 31年に河務に熟練しているとの康煕帝の意見で，老齢のため辞退したが再度河道総督に任じられ，その任のなかばで病没した。きん輔は河道総督の任の間に『治河法略』『治河奏績書』などの治水に関する書物を著わした。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報