駅伝(読み)エキデン

デジタル大辞泉 「駅伝」の意味・読み・例文・類語

えき‐でん【駅伝】

駅伝競走」の略。
古代駅制伝馬てんま制度律令制では、唐の制度にならって、官吏のためにには駅馬を備えて宿舎便宜をはかり、郡家ぐうけには伝馬を置いた。駅伝制。→駅制

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精選版 日本国語大辞典 「駅伝」の意味・読み・例文・類語

えき‐でん【駅伝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 古代の公的交通通信制度。駅制と伝馬(てんま)の制。令制においては唐の制度にならって諸道に三〇里(約一六キロメートル)ごとに駅を置き、駅馬を備え、緊急重要の官使逓送宿泊に用い、また、郡家(ぐうけ)には五頭の伝馬を置いて不急の用に供した。うまやづたい。
    1. [初出の実例]「外五位〈略〉若因公使駅伝者。駅馬四疋伝馬六疋」(出典類聚三代格‐五・神亀五年(728)三月二八日)
  3. えきでんきょうそう(駅伝競走)」の略。

うまや‐づたい‥づたひ【駅伝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「えきでん」の訓読み ) 令制下、官人旅行公用使いなどのため、各駅や各郡に常備することが義務づけられた馬。駅馬と伝馬。えきでん。
    1. [初出の実例]「逢坂の関の関守出て見よむまや伝ひに鈴きこゆなり〈大江匡房〉」(出典:堀河院御時百首和歌(1105‐06頃)雑)

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百科事典マイペディア 「駅伝」の意味・わかりやすい解説

駅伝【えきでん】

近代以前の交通・通信制度。中国では古く春秋戦国時代から,一定距離ごとに駅・伝を設け,公文書の送達や官吏の宿泊などに備えた。もともと駅は馬を,伝は車を利用したという。漢代から唐代にかけて大いに発達し,モンゴル帝国が成立すると,広大な領域ジャムチと呼ぶ駅伝の制を設け,東西の交通を便にした。日本では古代律令制下に駅馬伝馬(てんま)の制がみられ,ヨーロッパではアケメネス朝ペルシアローマ帝国において,最も完備した制度をもった。
→関連項目駅・駅家宿・宿駅郵便

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旺文社世界史事典 三訂版 「駅伝」の解説

駅伝
えきでん

近代以前の交通・通信制度の一種。馬・車などを継ぎかえて官吏の旅行,官文書輸送にあたった
この制度は相当広い地域にわたる統一的政治力の存在するところ,したがって中央集権国家の早く成立したオリエント・中国などに著しい発達をみた。オリエントではアケメネス朝のダレイオス1世の治下で1日行程ごとに駅を設けるなど整備され,ローマ帝国に継承された。中国では駅は馬,伝は車の乗り継ぎ場所の意で,戦国時代に出現し,秦・漢代から発達。漢代には30里(約12.4㎞)1駅の制や,官文書逓送 (ていそう) のために郵亭もできた。隋・唐代にはさらに整備され,水路に水駅も設けられた。専制的官僚政治の発達した宋代には,官文書逓送のために郵舗が整備された。モンゴル帝国の駅制はジャムチ(站赤)と呼ばれ,広大な領域にくまなく整備された。明・清代にも駅制は設けられたが,清末期に鉄道などの出現により消滅した。またラテンアメリカのインカ帝国でも整備された。

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普及版 字通 「駅伝」の読み・字形・画数・意味

【駅伝】えきでん

早つぎ。

字通「駅」の項目を見る

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