駅伝(読み)えきでん

旺文社世界史事典 三訂版「駅伝」の解説

駅伝
えきでん

近代以前の交通・通信制度の一種。馬・車などを継ぎかえて官吏の旅行,官文書輸送にあたった
この制度は相当広い地域にわたる統一的政治力の存在するところ,したがって中央集権国家の早く成立したオリエント・中国などに著しい発達をみた。オリエントではアケメネス朝のダレイオス1世の治下で1日行程ごとにを設けるなど整備され,ローマ帝国に継承された。中国では駅は馬,伝は車の乗り継ぎ場所ので,戦国時代に出現し,秦・漢代から発達。漢代には30里(約12.4㎞)1駅の制や,官文書逓送 (ていそう) のために郵亭もできた。隋・唐代にはさらに整備され,水路水駅も設けられた。専制的官僚政治の発達した宋代には,官文書逓送のために郵舗が整備された。モンゴル帝国駅制ジャムチ(站赤)と呼ばれ,広大な領域にくまなく整備された。明・清代にも駅制は設けられたが,清末期に鉄道などの出現により消滅した。またラテンアメリカのインカ帝国でも整備された。

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百科事典マイペディア「駅伝」の解説

駅伝【えきでん】

近代以前の交通・通信制度。中国では古く春秋戦国時代から,一定距離ごとに駅・伝を設け,公文書の送達や官吏の宿泊などに備えた。もともと駅は馬を,伝は車を利用したという。漢代から唐代にかけて大いに発達し,モンゴル帝国が成立すると,広大な領域にジャムチと呼ぶ駅伝の制を設け,東西の交通を便にした。日本では古代律令制下に駅馬伝馬(てんま)の制がみられ,ヨーロッパではアケメネス朝ペルシアとローマ帝国において,最も完備した制度をもった。
→関連項目駅・駅家宿・宿駅郵便

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精選版 日本国語大辞典「駅伝」の解説

えき‐でん【駅伝】

〘名〙
① 古代の公的交通通信制度。駅制と伝馬(てんま)の制。令制においては唐の制度にならって諸道に三〇里(約一六キロメートル)ごとに駅を置き、駅馬を備え、緊急重要の官使の逓送、宿泊に用い、また、郡家(ぐうけ)には五頭の伝馬を置いて不急の用に供した。うまやづたい。
※三代格‐五・神亀五年(728)三月二八日「外五位〈略〉若因公使駅伝者。駅馬四疋伝馬六疋」

うまや‐づたい ‥づたひ【駅伝】

〘名〙 (「えきでん」の訓読み) 令制下、官人の旅行、公用の使いなどのため、各駅や各郡に常備することが義務づけられた馬。駅馬と伝馬。えきでん。
※堀河百首(1105‐06頃)雑「逢坂の関の関守出て見よむまや伝ひに鈴きこゆなり〈大江匡房〉」

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