改訂新版 世界大百科事典 「ギッフェンの逆説」の意味・わかりやすい解説
ギッフェンの逆説 (ギッフェンのぎゃくせつ)
Giffen's paradox
価格上昇がその財の需要を増加させる現象をいう。〈価格の上昇(下落)は,その財の需要を減少(増加)させる〉という需要法則に対する反例として有名である。価格上昇が財の需要に及ぼす効果は,代替効果と所得効果に分解され,前者は,その財の需要を必ず減少させる。他方,所得の減少に対して需要を増加(減少)させる劣等財(正常財)であれば,所得効果は需要を増加(減少)させる。したがって,財が劣等財で,しかもその所得効果が代替効果を凌駕(りようが)するときにのみ,ギッフェンの逆説が生じる。この現象を最初に指摘したギッフェンRobert Giffen(1837-1910)は,イギリスの経済学者,統計学者である。
執筆者:賀川 昭夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報