ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギリシアの炎」の意味・わかりやすい解説 ギリシアの炎ギリシアのほのおTo pyr rhomaikon; Greek fire ギリシアの火とも呼ばれる。古代末期から中世にかけて戦闘の際に使われた火器の一種。生石灰,軽油,硫黄などを主成分とする半液体状の物質を利用して炎を出す火器。証聖者テオファネス・ホ・ホモロゲテスによれば,678年シリアのヘリオポリス出身のカリニコスという技師により発明されたという。しかし6世紀のマララスの年代記によれば,ビザンチン皇帝アナスタシウス1世 (在位 491~518) の治世中,同様の火器が存在していたことが知られ,その起源は6世紀にさかのぼることができる。これは火壺や押上げポンプに似た火筒を用いて海,陸に使用されたが,特に水上でも燃えることから海戦には大きな役割を果した。その製法は極秘とされ,7~8世紀の対イスラム戦に戦果をあげ,火薬の発明まではビザンチン帝国の特殊火器として著名であった。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by