中国では火薬を兵器に利用した記録は11世紀にあり,焼夷弾(しょういだん)や火炎放射器も発明された。また,元末には本格的な火砲が開発された。イスラーム世界では,火薬を用いる火器の使用はマムルーク朝期(13~14世紀)に始まり,続くオスマン帝国は鉄砲や大砲を組織的に用いて三大陸の征服を推し進めた。ヨーロッパでは,大砲は14世紀ルネサンス時代に登場,主として攻城用に用いられ,封建的地方割拠の打破に貢献した。15世紀末,砲兵科が成立したが,19世紀半ば,後装式施条砲が発明されるまで,大きな進歩はなかった。小銃(火縄銃)の出現は15世紀以降のことであるが,発射速度が遅かったため,ナポレオン戦争後まで,弓や刀槍と並存しなければならなかった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…白兵とは,斬る,突くという機能をする兵器で,刀,剣,槍など白刃を有するものを総称し,これらをもって行う近接格闘戦を白兵戦といった。白兵に対応するものは火兵であり,火薬ガスの圧力を利用して弾丸を発射する兵器を火器といい,これを使用する戦闘を火戦といった。旧日本軍においては,戦闘経過の大部分を占めるのは火戦であるが,結局は突撃を実施して白兵戦を交え,敵を撃滅して戦闘に最終の決を与えるものであると強調された。…
※「火器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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