日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギリシア暦」の意味・わかりやすい解説
ギリシア暦
ぎりしあれき
古代ギリシアで行われた暦法。太陰太陽暦であった。その当初は2年に1回の閏(うるう)月を挿入する単純な暦法であったが、ついで8年間のうち3、5、8年目に閏月を挿入する八年法に変わった。紀元前433年メトンが十九年七閏法を発明した。これは19年間(235か月)に7閏月を挿入するもので、メトンは19年間の総日数を6940日(メトン周期という)とした。したがって1暦年の平均日数は365.263日、1暦月の平均日数は29.532日となる。メトン周期の起算日は前432年6月27日である。メトン周期に次いで、前334年カリポスが、76年に28閏月を置き、総日数を2万7759日(カリポス周期という)とするカリポス法を創案した。これは1暦年の平均日数を365.25日とするもので、中国では四分暦とよばれた暦法であり、1暦月は29.531日となる。その起算日は前330年にとられた。その後、前125年ごろヒッパルコスが、304年の周期で、総日数11万1035日というヒッパルコス法を提案したがこの法は用いられなかった。
[渡辺敏夫]