生没年不詳。紀元前5世紀後半に活躍した古代ギリシアの天文学者。アテネで活躍し、当時の学者が実学を軽視する学風であったなかで、珍しく観測を手がけ、とくに1年の季節を確かめるために夏至の日を観測していた。当時のギリシアの暦法は月の朔望(さくぼう)(満ち欠け)を周期とした太陰暦が行われていて、季節の循環と一致せず、必要があれば13番目の月を閏月(うるうづき)として挿入して調整した。メトンは太陽暦と太陰暦の関係を最小公倍数的に統合して、19年の間に七閏月を挿入する方式である十九年七置閏法(ちじゅんほう)を発見、前433年に発表した。この法は中国ではすでに春秋時代に章法の名で行われていた。
[島村福太郎]
…しかし時代の経過とともに暦はしだいに改良され,前5世紀ころには19年間に7個の閏月を置く方法が考案された。この19年の周期は,やはり太陰太陽暦を使用していたギリシアにおいて,前432年に天文学者メトンMetōnが提唱しメトン周期と呼ばれた。中国ではこれを章法と呼んでいる。…
…19暦年を235暦月,6940日に等置する周期。ギリシアの科学者メトンMetōnが前433年に当時行われていた太陰太陽暦の誤りを正すために提案したもの。12ヵ月を1年とする平年が12回,13ヵ月の閏年が7回ある。…
※「メトン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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