日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギンアナゴ」の意味・わかりやすい解説
ギンアナゴ
ぎんあなご / 銀穴子
bucktooth conger
[学] Gnathophis heterognathos
硬骨魚綱ウナギ目アナゴ科クロアナゴ亜科に属する海水魚。北海道以南の太平洋沿岸、青森県以南の日本海沿岸、東シナ海、朝鮮半島、台湾、広東(カントン)省沿岸、天皇海山列、ハワイ海嶺(かいれい)などに分布する。別名はトビアナゴ。体は前部では円筒形で、尾部では側扁(そくへん)する。肛門(こうもん)は体の中央よりも前方にある。口は普通大で、上顎(じょうがく)の後端は目の中央下に達する。下顎は短く、口を閉じると前上顎骨の歯は露出する。上唇の溝は浅く、上唇の縁辺に幅の狭い遊離縁がある。主上顎骨に小さい円錐歯(えんすいし)が数列ある。肛門より前の側線孔は29~35個で、胸びれの上方で側線孔は側線管の上方に位置する。背びれは胸びれの中央部の上方から、臀(しり)びれは肛門の直後から始まり、両者は尾端でつながる。すべての鰭条(きじょう)に分節がある。脊椎(せきつい)骨数は117~124。体は銀褐色で、腹面は銀白色。背びれと臀びれの縁辺は黒い。全長45センチメートルに達する。水深145~580メートルの砂泥底にすみ、底引網で漁獲される。練り製品の原料になる。本種によく似たニセギンアナゴG. ginanagoは肛門前の側線孔数が35~40であること、胸びれの上方の側線孔は側線管の下方に位置すること、脊椎骨数は126~134であることなどで本種と区別できる。
[浅野博利・尼岡邦夫 2019年2月18日]