日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギンツブルク」の意味・わかりやすい解説
ギンツブルク
ぎんつぶるく
Виталий Лазаревич Гинзбург/Vitaly Lazarevich Ginzburg
(1916―2009)
ロシアの物理学者。モスクワに生まれる。1938年モスクワ大学を卒業、1940年ソ連科学アカデミー(現、ロシア科学アカデミー)物理学研究所に入り、1945年からゴーリキー大学教授、1968年からモスクワ大学教授を兼任、のちにレベデフ物理学研究所の所長を務めた。1966年にレーニン賞を受賞している。
ギンツブルクは極低温で電気抵抗がゼロとなる超伝導現象について研究を行い、1950年にランダウと共同でギンツブルク‐ランダウ理論(GL理論)を発表した。この理論は巨視的量子現象である超伝導を方程式で記述したもので、超伝導状態の空間的変化を解釈する基礎理論として重要である。また宇宙物理学の分野でも知られ、1953年には宇宙線と磁場との作用によるシンクロトロン放射の研究により、銀河電波の起源について解明した。2003年「超伝導と超流動の理論における先駆的貢献」により、アブリコソフ、レゲットとともにノーベル物理学賞を受賞した。
[編集部]
『川端有郷他編『遍歴電子系の磁性と超伝導』(1992・裳華房)』