アブリコソフ(読み)あぶりこそふ(その他表記)Алексей Алексеевич Абрикосов/Alexei Alexeyevich Abrikosov

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブリコソフ」の意味・わかりやすい解説

アブリコソフ
あぶりこそふ
Алексей Алексеевич Абрикосов/Alexei Alexeyevich Abrikosov
(1928―2017)

アメリカとロシア国籍をもつ物理学者。1948年モスクワ大学を卒業、ソ連科学アカデミー(現、ロシア科学アカデミー)物理問題研究所の研究員となり、1951年博士号を取得した。その後、ランダウ理論物理学研究所、金属・合金モスクワ研究所で部長を務め、1989年に高圧物理学研究所の所長に就任した。1991年アメリカに渡り、アルゴンヌ国立研究所の研究員となる。

 固体物理学の研究に力を注ぎ「ランダウ学派」の一人として活躍、極低温において電気抵抗がゼロとなる超伝導の研究を進め、第2種超伝導の理論的解明およびその磁気学的特性(アブリコソフ格子)の発見で知られている。2003年に「超伝導と超流動の理論において先駆的な貢献をした」として、ギンツブルクレゲットとともにノーベル物理学賞を受賞した。

[編集部]

『アブリコソフ著、松原武生・東辻千枝子訳『金属物理学の基礎』上下(1994、1995・吉岡書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブリコソフ」の意味・わかりやすい解説

アブリコソフ
Abrikosov, Alexei A.

[生]1928.6.25. ソビエト連邦,モスクワ
[没]2017.3.29. アメリカ合衆国,カリフォルニア,サニーベール
ソビエト連邦の物理学者。フルネーム Alexei Alexeevich Abrikosov。モスクワのカピッツァ物理学問題研究所でノーベル賞物理学者レフ・ランダウの指導を受け,1951年と 1955年に博士号を取得した。モスクワ大学教授などを経て,1991年からアメリカ合衆国のアルゴンヌ国立研究所主任研究員。1957年に,常伝導状態と超伝導状態が混在している「磁束渦糸」状態があり,しかもそのときの磁束は一定値の倍数をとること(磁束量子化現象。→磁束量子)を見つけた。これらの超伝導物質と磁場との関係を解き明かした業績により,ロシアの物理学者ビタリー・L.ギンツブルグ,イギリスの物理学者アンソニー・J.レゲットとともに 2003年ノーベル物理学賞を受賞した。

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