クウォンチフェロンテスト

六訂版 家庭医学大全科 の解説

クウォンチフェロンテスト(QFT)
(呼吸器の病気)

 クウォンチフェロンテスト(QFT)は、ヒト型結核菌(けっかくきん)のみがもっている複数の蛋白質を、被験者の血液を含んだ試験管内に加えて、被験者のTリンパ球を刺激し、結果的に活性化したリンパ球から放出されるインターフェロンγ(ガンマ)という物質(細胞から放出されて生理作用を示す蛋白質でサイトカインと呼ばれる)の量を測定するものです。

 インターフェロンγの量が多いと、結核感染の可能性が高いことになります。結核菌にのみ存在する複数の蛋白質は、BCGを作製する基となるウシ型結核菌や、日本に多い非結核性抗酸菌のマイコバクテリウムアビウムやイントラセルラーレからは分泌されないので、QFTが陽性であればこれらによる感染症は否定できます。

 本文でも述べたように、ツベルクリン反応は真の結核感染を判定する能力に欠点がありましたが、QFTの判定は精度が高く、集団感染や結核患者との接触者のなかの発病者の発見にとても有用で、現在、日常の臨床に使われています。2006年1月から健康保険適用となっています。

 ただし、このQFTにもいくつかの問題点があります。例えば、①糖尿病(とうにょうびょう)慢性腎不全(まんせいじんふぜん)、血液の病気(白血病(はっけつびょう)、リンパ(しゅ)など)、悪性腫瘍(はい)がん、頭頸部(とうけいぶ)がんなど)、じん肺症(ぱいしょう)など、②コルチコステロイドメトトレキサートアザチオプリン、抗がん薬療法などの免疫抑制剤で治療を受けている、③HIV感染、エイズ臓器移植などにより免疫抑制状態にあるなど、被験者の細胞性免疫機能が低下していたり、免疫抑制状態にある時は、活動性結核に感染していても陰性(偽陰性という)になってしまうことなどです。

 以上、QFTは結核発病の診断精度を確実に高める検査方法ですが、陽性結果のみで発病者とは断定せず、逆に陰性であっても免疫抑制状態にある場合などでは、臨床症状、画像所見、細菌検査、血液炎症反応検査なども加えての総合判断が必要です。現在はさらに、感度の優れた第3世代のクウォンチフェロン測定法が開発されています。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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