改訂新版 世界大百科事典 「クジャウェン」の意味・わかりやすい解説
クジャウェン
kejawén
ジャワ(JawaまたはJawi)に接頭辞ke-と接尾辞-nを付してできた抽象名詞で,〈ジャワ的なるもの〉,および〈ジャワ人の居住地域〉を意味する文化地理概念。地理的には,マタラム王国のクラトン(王宮)のあったスラカルタ(ソロ),ジョクジャカルタのヌゴロ,ヌゴロ・アグン地域,ケドゥ,バニュマス,マディウン,クディリのモンチョヌゴロ地域からなり,ジャワ人とマドゥラ人の混住するジャワ東端部(ウジュン・ティムル),イスラムの影響の強い海岸部(パシシル),スンダ人居住の西ジャワ(スンダ)と区別される。また文化的には,とくに宗教について,のちに外から持ち込まれた宗教(イスラム)に対して,伝来のジャワ教(アガマ・ジャワ,クバティナン)を意味し,それは,アニミズム,ジャワ・ヒンドゥイズム,イスラムのシンクレティズム(混交信仰)を特徴として,正統派イスラム,改革派イスラムと区別される。
執筆者:白石 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報